40~50代前後の女性にみられる「肝機能障害」
定期健康診断での有所見率は、2020年は63.6%(2010年は52.3%)と年々増加傾向にあります。その中で肝機能障害は、全受診者の25%と4人に1人が指摘されています。肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、肝機能障害があっても大半の場合、症状が見られません。

当院にも、健診や人間ドックで「肝機能の数値異常(AST、ALT、γ-GTPが高値)に対する精密検査を受けてください」と指摘され、受診いただく方の中でも40~50歳代を中心とした女性が多くいらっしゃいます。
女性の場合は40歳代からエストロゲンが低下し、いわゆる更年期症状が見られるとともに、コレステロールや中性脂肪が上昇してきます。
肝臓はコレステロールや中性脂肪の代謝を担う臓器ですが、以前より多く代謝することの負担から肝機能障害(主にγ-GTPが上昇する)を生じることになります。
治療は、ガイドラインに準じて、食事や運動療法など生活習慣の調整とともに、脂質・耐糖能・腎機能などを踏まえた薬物療法や、更年期症状を伴う場合には婦人科へ紹介し、ホルモン補充療法を検討いただくこともあります。
また、ホルモン補充療法が、年齢や子宮筋腫などの基礎疾患により適応とならない場合や、乳癌や卵巣癌、血栓症などの治療リスクを考慮する場合には、保険診療としてプラセンタの投与も提案しています。
今回、40~50歳代前後の女性の肝機能障害についてお話ししましたが、B型・C型肝炎ウイルスや自己免疫性肝炎、薬剤性肝炎、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(非アルコール性脂肪性肝疾患)など、鑑別を要する疾患も多く、一度は消化器内科を受診して詳しい検査を受けるようにしてください
当院では血液検査と腹部エコーによる精査が可能ですし、必要と判断した場合にはCTやMRIなどの検査を患者様に応じて病院へ依頼しておりますので、お気軽にお声がけください。
